私たちの体には、「設計図」のようなものが存在しています。それが「遺伝子」です。遺伝子は、親から子へ受け継がれるもので、髪の色や目の形、体質などを決定づける大切な情報が詰まっています。遺伝子は、私たちの健康や病気のリスク、さらには薬への反応など、さまざまなことに影響を与える重要な要素です。

遺伝子とDNAの関係

遺伝子は細胞の中の「DNA(デオキシリボ核酸)」という物質に刻まれています。DNAは、私たちの細胞の核の中に存在し、すべての生物が持つ生命の基本的な情報を保存しています。DNAは二重らせん構造をしており、A(アデニン)、T(チミン)、C(シトシン)、G(グアニン)という4つの塩基が特定の順番で並ぶことで、私たちの身体の仕組みを決定しています。

DNAの並び方を家の設計図に例えると、A・T・C・Gの塩基はレンガや木材のような素材です。同じ素材でも組み立て方が違えば、違う外観になったりするように、塩基の並びが変わることで個性が生まれます。人間の体においては、DNAのわずかな違いが体質や見た目に大きな影響を与えます。

遺伝子の役割と重要性

遺伝子は、私たちの体内でさまざまな役割を担っています。体の成長や修復、さらには外部からの刺激に対する反応も遺伝子に決められた設計図に刻まれています。たとえば、傷が治る仕組みや、免疫細胞が働くタイミングも遺伝子によって決まっています。

これを工場に例えるなら、遺伝子は製品の製造マニュアルです。どの部品をどれくらい作るのか、修理が必要なときにどんな部品を使うのかを指示しているのです。適切にマニュアルが機能している場合、体は健康を保ちますが、遺伝子にエラーがあると病気の原因になることがあります。

また、遺伝子は世代を超えて受け継がれるため、親子間で似た特徴を持つことが多いのです。家族に特定の病気が多い場合、その病気のリスクを高める遺伝子を受け継いでいる可能性があります。遺伝子は「家族の遺産」のようなもので、目に見えない形で未来の世代に影響を与えるのです。

遺伝子の多型(ポリモルフィズム)とは?

DNAの塩基配列は人によって少しずつ異なります。この違いを「多型(ポリモルフィズム)」と呼びます。多型は、個人の体質や病気のリスクに影響を与える要因の一つです。多型があることで、同じ病気にかかりやすい人とかかりにくい人がいたり、薬が効きやすい人と効きにくい人がいたりするのです。

多型には大きく分けて以下の種類があります:

  • 一塩基多型(SNP):DNAの塩基が1つだけ異なるものです。たとえば、特定の病気のリスクや薬の代謝速度に影響を与えることがあります。
  • 挿入欠失多型(Indel):DNAの一部が挿入されたり欠失したりすることで起こります。
  • 反復配列多型:DNAの特定の配列が繰り返される回数が異なるものです。たとえば、神経疾患などに関連することがあります。

例えば、お酒を分解する能力に関わる「ALDH2」という遺伝子には多型があり、この違いによって「お酒が強い人」と「弱い人」が分かれます。これは体の中の「酵素工場」に少し違う設計図が渡されたようなものです。効率よく働く工場もあれば、ゆっくり作業する工場もあるため、人によって結果が変わるのです。

また、乳糖を分解できるかどうかも、遺伝子の多型によって決まります。これが「乳糖不耐症」と呼ばれる体質の原因となります。

遺伝子検査とは?

このように、遺伝子や多型の違いを調べることで、自分の体質や病気のリスクを知ることができます。それが「遺伝子検査」です。遺伝子検査では、唾液や血液などのサンプルからDNAを抽出し、特定の遺伝子の配列を解析します。

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